「 地域 × 食 」が刺さるワケ -「秘密のケンミンSHOW」の強さの秘密 

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つい見てしまう「秘密のケンミンSHOW」

私はあまりテレビを見る方ではないのですが、それでも毎週見てしまう番組があります。秘密のケンミンSHOWです。2007年から始まったこの番組は、地域の特徴ある食材・料理、行事、県民性などを紹介し、地元愛溢れるケンミンスター(ゲスト)たちが盛り立てます。

私は東北出身者ですが、東北でも県や地域でこんなに食べ方が違うものかと驚かされます。13年も続くとさすがにネタ切れ感は否めないようですが、同じネタでもつい見てほっこりしてしまうのが地域ネタ番組の魅力なのでしょう。

これだけ違う「地域の食」

地域差が大きいのは「魚介類」と「果物」

「地域×食」から生み出されるストーリーがこれだけ多くの人を惹きつけるのはなぜでしょうか。それは食がそれだけ地域によって多様なものだからです。

データで確認してみましょう。各都道府県の支出額のばらつき度合い(変動係数)を食品カテゴリー別に算出してみると、「魚介類」と「果物」が抜きんでていることがわかります。魚介類も果物も地域色が非常に出やすい食材であり、ケンミンSHOWでもよく取り上げられるジャンルの一つです。

都道府県による支出のばらつき度(食品カテゴリー別)

都道府県による支出のばらつき度

鳥取のシジミ 高知のカツオ

魚介類でとりわけ地域差が大きいのが「シジミ」と「カツオ」です。シジミの支出は漁獲量1位の宍道湖がある鳥取県(松江市)がダントツです。茨城県(水戸市)や秋田県(秋田市)も多く消費しています。カツオの支出は言うまでもなく高知県(高知市)が圧倒的で、他の都道府県の約5倍も多く支出しています。

ケンミンSHOW的にはシジミやカツオのように飛びぬけた県にスポットが当てられますが、西のタイ・東のマグロというように、地域ブロックで特徴が分かれる魚介類もあります。

シジミとカツオの都道府県別支出ランキング

               (シジミ)

シジミの支出 都道府県ランキング

               (カツオ)

カツオの支出 都道府県ランキング
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食べ方・食べる場所にも地域性が出る

ケンミンSHOWでは食材だけでなく、ご当地ラーメンのように料理や調理の仕方にも頻繁にスポットが当てられます。食べ方や食べる場所にも地域性が色濃く出るというわけです。

調理方法として素材から作るのか、それとも冷凍食品や総菜など調理食品を取り入れながら作るのか。下のグラフは素材と調理食品の支出割合を都道府県別に比較したものです。

北海道、秋田県、島根県など地方圏の家計では肉類や野菜など素材系への支出割合が高い傾向にあります。

素材への支出は少なく調理食品を多く取り入れているのが、東京都や埼玉県、千葉県、茨城県など大都市近郊部です。共働きの勤労世帯が多いため、平日の食事は惣菜など時短型商品を多く利用する姿がうかがえます。

静岡県や福井県は、素材と調理食品の両方をバランスよく使いながら食事の質と効率性をうまく図っているといえます。

都道府県別にみた調理方法の特徴

都道府県別にみた調理方法の特徴

「地域×食」は食品スーパーにも影響

地場スーパーの存在感

このように食材だけでなく調理方法をみても地域差が非常に大きいことがわかります。この国で地域の食を理解するのはそう簡単ではありません。地域による食の違いがこれだけ大きい国は世界でも珍しいのではないでしょうか。

地域と食の強い関係性は日本でなぜ地場スーパーが強いかを表しています。地域の消費者を知るには買い物行動だけでは把握できません。味の好みからどの人とどの人が知り合いだとか、地元に関するあらゆる情報を知ることが地域の食を扱うお店の競争力を左右します。

こうした地域情報はPOS-IDのような購買データで一元管理できるようなものではありません。地元を知り尽くした地場スーパーの強みがここにあります。

欧米は富士山型 日本は連峰型

日本の食品スーパーのモデルはチェーンストアです。つまり標準的な商品を大量に仕入れて大量に売ることで安さを実現する経営スタイルです。

これは経済学でいう「規模の経済」と言われるもので、その先に待っているのはトップ企業による寡占化です。イギリスのスーパー業界では、テスコ、セインズベリー、ウォルマート傘下のアズダの3強が寡占化する「富士山型」です。

しかし日本の食品スーパーはチェーンストアであるにもかかわらず、欧米のようなトップ主導の「富士山型」にはなっていません。ここ数年シェアを拡大した上位企業の顔触れをみると、オーケーストア、ヤオコー、ヨークベニマルなど地域の雄が並びます。

日本の食品スーパーは各地域の地場スーパーがその地域でシェアを拡大する「連峰型」の業界構造であり、これが地場スーパーの強さを物語っています。

食品スーパーは生活の一部

今回のコロナ禍でもなぜか自然に地元の食品スーパーには足が向いた人は多かったのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。地域に深く根差した地場スーパーは生活の一部です。

地域と食が切っても切れない関係にあるように、地場スーパーと地元の人々も切っては切れない関係にあるのでしょう。